代表取締役社長 白倉 宏
企画・総合 白倉重樹
古くから織物の産地として繊維工場(機織屋)が集中していた新潟・長岡で繊維産業に従事し、独立後、有限会社白倉ニットを設立しました。オイルショック後には、機織屋が300軒から30軒くらいに減少する中、ニット専門の工場として様々な工夫を凝らし、オリジナリティーを確立することで現在まで継続することができました。
ニッターと称される私たちテキスタイルデザイナーの仕事は、ファッションデザイナーが描いた服飾のデザイン原画を元に製糸工場が製造した糸を原料にして編み地(生地)をオリジナルで製造することです。この編み地の柄や伸縮具合、肌触り、質感をデザインするのが私たちの役割りです。
完成形を即座に制作し確認できることが面白いですし、繊維工場の強みだと思っています。
私たち繊維の工場は製造現場のことはよく知っているのですが、販売の現場の声はダイレクトに伝わって来にくいため商品の売れ行きなどが分かりにくい部分がありました。
そんな時コピーライターの糸井重里さんと出会い、彼の主催する『ほぼ日刊イトイ新聞』(www.1101.com)で、白倉ニットが製造したハラマキをネット販売させていただいたところ、ユーザーからの声がダイレクトに聞こえてくるようになりました。その声はテキスタイル開発に反映することに役に立つとともに、繊維を製造する上でのモチベーションの向上につながりました。
このハラマキプロジェクトでは、多くの気鋭のデザイナーやアーティストがハラマキの絵柄デザインに参加していただいた結果、毎年販売とともに売り切れてしまうほどの大きな反響を得ることができました。この経験からデザイン性の高さやブランドイメージの構築が重要なことを実感することになりました。
中国など低賃金での労働力が日本の繊維産業を脅かしているとよく言われますが、白倉ニットは独自の職人的な技術力によって、競合しない地位を確立してきました。
また若い人材が不足していると言われる産業でもありますが、『モノをつくる』ことを重要視し、クリエイティビティーを高めやすい放任的な自由な環境をつくることを意識しているため、若いニッター希望の社員が増えています。
白倉ニットは、今後も時代の状況に即座に対応し、ニット業界のイノベーションを行い、オピニオンリーダーであり続けられるよう努力していきたいと考えています。
(代表取締役社長)
白倉 宏